☆第2章 施設
それから、父が働いてる間は祖母が来て面倒を見てくれてた。
ある日伯母に「お出かけするよ!」って言われて、うきうきで準備した。
車で何分か揺られて、着いた先は施設のようなところだった。
中に入ると、大きな体育館で楽しそうにバスケをしたり、走り回ったりしてる子供たち。
教室のような部屋がいくつかあっておままごとをしたり、お人形遊びしてる子供たち。
それを眺めながら長いような短い廊下を父と伯母と歩いた。
目の前でお人形と遊んでた子がいたから楽しそうで、一緒に遊んでいたら
「じゃあ、ちょっとここで待っててね」とわたしから離れようとした。
絶対置いてかれる!ってわかっていたからすごく泣いて引き留めた。
行かないでほしい。またわたしのそばから人が居なくなる。
「歯医者に行くだけだから」と不安で泣きじゃくるわたしを抱き抱えて、知らない女の人に渡そうとした。
嫌で嫌でたまらなかったし絶対に帰ってこないってわかってたから声が枯れるまで泣いた。
きっと家庭裁判とかいろんな大人の事情があったんだろうなぁ。
小さな抵抗も虚しく、無理やり引き剥がされてそこからわたしの施設生活は始まった。
ここからはボンヤリとしか覚えてないけど
なんにも持ってないわたしに下着をわけてくれたり
お人形遊び誘ってくれたり優しい子がとても多かった。
そうそう、施設で見た最初のアニメが「ポパイ」だった。
引き剥がされた後で落ち込みながら見たアニメ。
そんな時に見せられて笑えなかったことを覚えてる。
(作者さんは何も悪くないです。)
あとはわたしを見かけるとすぐヨーヨーで得意技を披露するお兄さんがいて
わたしを見かける度に「あ!」っていいながら得意げにヨーヨー技みせつけて笑うの。
当時はめっっちゃくちゃその人が嫌いだった。
かなりしつこく絡んでくるし、こっちは親から引き剥がされて
ショックでめちゃくちゃに落ち込んでたのに
いっっつもニコニコしててわたしは楽しくないし辛いのに
何笑ってんの?って思ってた。(幼少期ながらまじでオマセがすぎてた)
あとから聞いた話なんだけど、いつも悲しそうだったから少しでも笑って欲しかったんだって。
その人の友達と一緒にぷよぷよしたの覚えてる。人生で初めて触ったゲームがぷよぷよだった。