☆第8章 Yさん
バンドメンバー募集記事を書いてそれほど遅くない期間でメッセージが届いた。
『君の歌を聞いていいと思って連絡した。バンドではないけどプロジェクトを立ち上げるので是非ボーカルとして参加して欲しい。』
こんなわたしでも声をかけてくれる人がいるんだって思って舞い上がった。やっと本格的に活動ができる!
まずは話を聞こうって思ってすぐに連絡を返し、次の週に会うことになった。
場所は焼肉屋だった。軽く挨拶と自己紹介をする。ここではYさんってことにしよう。
今は解散してしまったけどバンドをやってたと言いながらCDとチラシをわたしにくれた。
その後に実際に生歌を聞きたいと言うからカラオケに行った。何を歌ったか忘れてしまったけど声だけは褒められた。
その日は焼肉とカラオケだけで終わりその後もわたしの今までの人生の話や、Yさんの人生の話、それから音楽活動についてこれからどうしていきたいのか?
そんなような話を打ち合わせも兼ねて何度か会って話した。
ある日、打ち合わせで呼ばれ上野駅へ。この日が全ての始まりだった。
ある程度これからのことを話してどういう風に進んで行くかが決まった頃、こんな事を言われる。
「本当にやる気があるならサポートを全力でする。立ち上げてるプロジェクトは事務所で話が進んでいる。
これから大変なこともたくさんあるだろうがお前も諦めずについてきて欲しい。頑張れる?」
Yさんの眼光は、わたしの目をガシッと掴んだ。
今までは、笑いながら下らない話やわたしの夢や目標の話、自分の自慢話しかしてなかったのに今日はやたら真剣だった。
わたしも夢を叶えたい…その一心だったからこう答えた。
「頑張ります!」