☆第1章 母
母のことを思い出すときはいつも小さい頃の記憶を辿る。
それが実際に起きたことだったかどうか証明できるビデオや日記、音声はないんだけど
これから話すことは、居なくなってしまった母との思い出。最低限覚えている出来事。
それは、金曜ロードショーでトトロが放送された夜中のこと。
「さんぽ」を聞きながら歌って踊ってた。小さい頃から歌うことが好きだったみたい。
お母さんは、「遅いんだから早く寝なさい!」ってわたしを叱った。
でも、こんなに楽しいのに歌い終わらないと寝たくない!って思ったわたしは小さいながら全力で「嫌だ!」と反抗した。
何度叱っても言う事を聞かなかったものだから母はお尻を叩いた。びっくりして泣いたのを覚えてる。
それを見てた父が「そこまですることないだろ!」って怒って、2人の取っ組み合いと喧嘩が始まりそばにいた弟もわたしと一緒に泣いた。
しばらくして母が自分の部屋に戻って
出てきたと思ったらキャリーケースを持って家を出て行った。
すぐ帰ってくると信じて待ち続けた。でも帰ってくることはなかった。
しばらく月日が流れて言われた一言は「これからは3人で暮らしていくよ」